2026/02/20 10:00

【有村佳奈】

■経歴・出展歴
《経歴》
1985年 鹿児島県出身
2008年 女子美術大学デザイン学科 卒業

《個展歴》
2025年 個展「Real」(tagboat /東京・人形町)
2024年 個展「Change」(tagboat /東京・人形町)
2024年 個展「Sakura」(Gallery Joyana / フランス・パリ)
2023年 コレクション展「キセキ」(Gallery&Cafe AQUA ・+Space Gallery / 和歌山)
2022年 個展「Treasure-hunt~#宝物を探して~」(The Artcomplex Center of Tokyo)
2022年 個展「I’m ready」(tagboat/阪急メンズ東京)
2021年 個展「Color Girls」(CLOUDS ART+COFFEE/東京)
2020年 「新宿ミロード×有村佳奈アート展」(新宿ミロード)
2020年 個展「Welcome to Daydream ―ようこそ、白昼夢へー」(The Artcomplex Center of Tokyo)
2018年 個展「Fantasyは眠らない」(The Artcomplex Center of Tokyo)
2017年 個展「きっといつか夢から醒めてしまうね。」(The Artcomplex Center of Tokyo)
2014年 個展「Everyday Wonderland 有村佳奈展」(アートスペース羅針盤)

《グループ展歴》
2024年 つなぐーTSUNAGUー(台北/外琨塔 Vaikuntha 藝術中心 )
2024年 tagboat ART SHOW(東京/大丸)
2023年 未完成のエピローグ-有村佳奈と田村芽実の実験室-(EARTH+GALLERY|東京)
2022年 Art Fair HAKATA tagboat HAKATA HANKYU(福岡)
2022年 和心芸術祭(Gallery Jo Yana/フランス)
2022年 Art Fair GINZA(銀座三越)


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~INTERVIEW~

Q.アーティスト活動を始めたきっかけは何ですか?
もともと絵を描くことが好きで、「アーティストになろう」という強い意志があったというよりは、まず描いて発表したいという気持ちが出発点でした。
初個展は2014年に開催した「Everyday Wonderland 有村佳奈展」(アートスペース羅針盤)です。ただ、この頃は今の作風とは違い、「アーティスト」という意識も薄かったと思います。個展後は、自分が納得できる表現が見つからず、絵を描くことに集中できない時期が続きました。けれど2017年頃、現在描いている「うさぎの仮面」のテイストに出会い、その瞬間「この絵を描いていこう」と直感的に思ったんです。そこからお客さんの反応も大きく変わりました。「観てくれている」という実感が伝わってくるようになり、自分が描きたいものに出会えたこと、そして反応を感じられたこと、この二つが重なって「アーティストであろう」とする自分が生まれていきました。この感覚との出会いこそが、アーティスト活動のきっかけだと思います。

Q.ご自身の作品を制作するうえで、こだわっているテクニックや技法、ルーティーンなど可能な範囲で教えてください。
コンセプトや手法を頭で考えすぎると、どこに着地すればいいのかわからなくなってしまうことがあります。なので、悩んでいる時こそ行動を止めないようにしています。
たとえば、
コンセプトで悩んでいるなら、ノートやPCに書き出す
下絵をなんとなく進める
絵の具を塗る
というように、とにかく手を動かし続けるようにしています。
また、こだわりというより単純に「絵の具で描く」という行為が好きで、どんどん描き進めていきたい気持ちがあります。その相性もあって、ずっとアクリル絵の具で制作しています。

Q.作品はどう制作していますか?また制作時の環境なども教えて下さい。
まずは、絵のイメージに合うモデルさんを撮影します。資料やポーズ確認のためで、自分自身がモデルになることもあります。そこから絵に起こしていき、ラフの段階はタブレットやPCで決めていきます。
その後キャンバスに下絵を描き、色は実際に描きながら決めています。

Q.作品を制作される際は、どういったシーンやモノ、コトから着想を得て制作に移るのですか?
私は常に「いま自分が何に心を揺らしているか」に意識を向けています。
普段目にするニュース、日常で起こった些細な出来事、好きなコンテンツ、誰かが言った言葉、ネットで見かける現象。そうした日々の中にある気になるピースをつなげて、作品へ昇華していく感覚です。

Q.有村さんの作品に登場する「ウサギの仮面をつけた女性」に込められた想いやメッセージを改めて教えてください。
私たちの感情は単純ではなく、「楽しい」の中にも小さな悲しさが混ざるように、いつも複雑に揺れ動いています。だからこそ人は、友達、家族、職場など場面に合わせて違う顔=仮面を自然に使い分けながら生きています。それは偽ることではなく、自分を守り前に進むための大切な生存戦略です。仮面はその強さの象徴で、「それってかっこいいじゃん」という気持ちを込めて、ウサギの仮面の乙女として描いています
また私の絵を見て、「嬉しそうに見える」「実は怒っているように感じる」など、受け取り方は鑑賞者によって変わると思います。そうした対話が絵を通して生まれたら嬉しいです。

Q.「ウサギの仮面をつけた女性」を描くに至った経緯や誕生秘話などがあれば教えてください。
もともと「ウサギの仮面を被った乙女」のイメージは、直感的な出会いでした。理由があって描いたというより、「この絵っていい!」と感じて描き始めたんです。
自分でもなぜ惹かれるのかはわからないけれど、その直感を大事にしています。もともと目が隠されている作品に惹かれる傾向があり、「どうなってるのかな?」と想像するのが好きでした。鑑賞者に考える余地を残したい、という気持ちもあります。

Q.家事・育児と両立しながらでの制作活動を行われているかと存じます。有村さんにとってそういった忙しさの中での作品制作に対するエネルギーや原動力をお聞かせください。
一番は、やっぱり「描き続けたい」という気持ちが大きいです。
「絵を描き続ける」という行為そのものが、自分自身を作り出していると感じています。
それから、「制作活動」を特別なものにしないことも大切にしています。朝食を食べる、料理を作る、お風呂に入るといった日常の行為の中に、「絵を描く」を自然に入れていく。
大学生の頃は制作を特別視していて、「すごい集中力で作らないと良いものは描けない」と思い込んでいました。でも卒業後、それでは続かないし生きていけないと気づいたんです。描くことを日常化したことで、制作を続けられていると思います。

Q.有村さんは制作した作品に”詩”も一緒に作られていますが、”詩”を作られる際のインスピレーション源や背景を教えてください。
「自分がなぜこの絵を描きたいと思ったのか」「言語化するならどんな言葉が似合うのか」――自分自身が答え合わせをするような気持ちで詩を書いています。
鑑賞者にとって、作品を読み解くヒントになる言葉を残したいという想いもあります。詩を作る時間は、自分の絵と対話する時間です。描いている時は直感的な場合も多いので、詩を書くことで「私はこんなことを考えていたんだな」と、絵から自分の気持ちを発見することもあります。

Q.影響を受けた作品・出来事はありますか? ※自他どちらでも構いません
ディビット・リンチの映像ですね。夢か現かわからない表現が好きで、自分もその境界線が曖昧な作品を作ることが多いです。
それからアレックス・カネフスキーが大好きで、絵の具の塗り方など大きく影響を受けています。
また、「うさぎ」の仮面については、子供の頃からセーラームーンが大好きなので、主人公の「月野うさぎ」ちゃんから来ているのでは……と自己分析しています(笑)。
好きな世界観や作品は自然と影響を受けますし、自覚なく影響されていることも多いと思います。

Q.印象に残っている展示会はありますか? ※自他どちらでも構いません
2006年に森美術館で開催された「ビル・ヴィオラ」展です。圧倒されました。時が経っても、あの展覧会を見た衝撃は鮮明に残っています。
自分の展示では、2022年に阪急メンズ東京で開催した個展「I’m ready」が印象深いです。コロナ禍で人が来てくれるか不安なまま初日を迎えたのですが、たくさんのお客様が購入のために駆けつけてくれて、本当に感動しました。個展は何度やっても「誰か来るんだろうか」という不安があるので、人が来てくれることに毎回感動します。

Q.今まで見たアート作品で印象に残っていることを教えてください。
2005年に杉本博司さんの個展「時間の終わり」で観た作品です。
それまでアート作品としての写真表現にあまり出会っていなかったので、杉本さんの作品は衝撃的でした。大学生だった自分は、その影響で卒業制作を写真にしたほどです。
「長い時間」を一枚の写真に落とし込む過程と、その作品がもたらす静かな空間と時間に、とても感動しました。

Q.今後の制作活動への想いやチャレンジしていきたいこと・目標があれば教えてください。
AIの登場で世の中はどんどん便利になり、進化の速度も急速に早くなっています。そんな中で私は、「アートは脳を休息させるための処方箋になり得るのではないか」と考えるようになりました。
すぐに理解できるものばかりが求められる時代において、“わかりにくさ”はむしろ脳を休ませる作用を持つのではないか。効率や即時性が重視される今だからこそ、アートの持つ「立ち止まる力」が社会に必要とされていると感じています。とはいえ、「わかりにくいことはいいことだ」とも思いません。それでは人は離れてしまうでしょう。私はこれまで「作品を作って終わり」という姿勢が多かったのですが、もっとアートへの入り口を広げていきたいと考えています。
そのためにYouTubeを始め、制作プロセスや思考の流れを可視化し、アートの背景にあるリアルな部分を共有していこうとしています。さらに、作品ともつながる小説・エッセイ・詩をまとめた書籍も制作し、絵画だけでなく言葉を通して自分の思考を伝えることも大事だと考えています。
今後も一つひとつの試みを丁寧に積み重ねながら、アートと社会をつなぐ表現を続けていきたいです。

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