2026/05/12 12:00

【三村あずさ】
観る人の心を癒し、前向きな気持ちになれるような作品を描いています。
モチーフは動物(主に犬)や花で、動物は癒しや日常の穏やかさ、花は明るさや喜びを表現しています。
縁起物シリーズは、「うさぎと波」など日本の伝統的な題材、縁起・相性のいい組み合わせを自分なりに表現し、観る人にとっていいことありそうという気持ちを届けたいと思っています。
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~INTERVIEW~
Q.アーティスト活動を始めたきっかけは何ですか?
美術を好きになったのは、小学校の美術の授業がきっかけです。自分の頭の中にあるイメージを絵や立体で表現できることが楽しく、それを先生や友人、家族が褒めてくれることが嬉しかったです。授業の中で特に印象に残っているのは粘土で作ったベルの作品です。焼いた後に色をつけるのですが、自分の頭の中にある「かわいいピンク」にしたいと思って赤と白の配合をこだわって作りました。完成した色について友人が「どうやって作るの?」と興味を持って聞いてくれたり、先生が褒めてくれたことを覚えています。自分の作品がまわりの人たちに認められたことが嬉しく、それ以降ずっと描いたり、作ったりすることが好きで続けています。
その後、高校生の時に進路を考えるにあたって、自分の好きなことを追求したいと思い美術大学を目指しました。大学に入る前からアーティストとして個展や展示をやってみたいということは考えていましたが、多摩美術大学に入ってからアーティストや画家、美術家という職業が現実にあることを知りました。それまでは他の職業の仕事をしつつ、作品を制作することしかできないと勝手に思い込んでいましたし、作品を売るということもわかっていませんでした。現在はアート活動と別の仕事をリンクさせながら2つのことをしています。
きっかけは褒めて認められたことで美術制作を好きになりましたが、今は自分がただ好きで作るだけではなく、作品で人に喜んでもらうことを目指しています。そう思うようになったのは、展示を観に来てくれたり、作品を購入してくれた方の感想の言葉からです。「三村さんの絵は癒される、なんかいい!」「家に飾っていると元気をもらえる」「(展示に来てくれた方)美術に触れる機会が滅多にないから新鮮だった」という言葉をもらって、自分が描いて楽しいかよりも相手にとって喜んでもらえたという喜びの方がずっと大きいと思うようになりました。これらはアート活動で発表をし始めて長い時間をかけて徐々にでてきたことです。
Q.ご自身の作品を制作するうえで、こだわっているテクニックや技法、ルーティーンなど可能な範囲で教えてください。
こだわっていることは、作品の中で余白を作るようにしています。これは余白部分を観る人に想像をしてもらい、それぞれが絵を楽しめるように、こちらから一方的に押し付けて説明しすぎないようにという思いからです。
ルーティーンは、朝にカフェでの時間をつくることです。その時間は、これからの制作の計画や、表現したいことを言葉にして何でも手帳に書いています。この手帳に書いた言葉から作品へつなげていますし、制作するのと同じくらいどうやったら人に作品や想いを届けられるかを考えて行動することが大事だと思っているので、それらについても考えてメモするようにしています。現在、アート活動以外の仕事も行なっていてまとまってアートの時間がとれない時もあるのですが、毎日アートの時間をつくることを考えて出勤前の朝の時間ならとれると思い、朝の時間になりました。カフェというのは自分が好きな場所なので、より楽しく考え事ができるからです。この朝の時間も貴重で楽しいです。
Q.作品はどう制作していますか?また制作時の環境なども教えて下さい。
最近は展示の機会をいただくことがあるので、展示目がけて制作をしています。具体的には、展示の空間を考えてそれに合ったテーマや作品の大きさ、並びの構成を考えます。並行して、単語や文章で表現したいことやテーマをノートに書き出し、その言葉からアイディアスケッチをし、構図と色、質感を決めます。ここで完成までのイメージをしっかり決めます。そのあとに、絵の具や筆を使って制作をしていきます。
制作は一人で行なっていて、アイディアスケッチから構図等を決めるまでの考える時間は無音で、そのあとの絵の具を使う制作時はラジオをつけて制作をしています。考える時間は無音でないと言葉や考えがまとまらず、その後の手を動かす制作は完成したイメージを絵の具に置き換える作業というふうに割り切っています。
Q.作品を制作される際は、どういったシーンやモノ、コトから着想を得て制作に移るのですか?
展示する空間やそのあとにどういった場所で飾られるのか、どういった人が所有するのかをイメージして、観る人にとって喜んでもらえるか、前向きな気持ちになってもらえるかということを考えてモチーフを選んでいます。花や動物などは癒しや可愛さ、明るさを感じられるようにしています。近年は飛躍や繁栄の意味がある「波うさぎ」や開運要素をいれた「干支シリーズ」など縁起のいいものをモチーフにしているのも観る人にいいことありそうな気持ちになっていただけたらという思いです。一方で、Tシャツにしていただいた「ブルーサイド」という作品は自分が考えていることを強く出した作品です。現代の社会で起こっていること、社会へ向けて自分が感じていることを表現しました。日々の生活のなかでSNSというのはなくてはならないものになっています。何か欲しいと思っていなくてもSNSを開いて影響のある誰かが紹介していれば、それが欲しいと思ってしまいます。その誰かがSNSの画面越しであれば実在する人なのかどうなのかも分からないし、その人の本心なのかも本当のところは分かりません。
こんなことを考えていて「表と裏、偶像、キャラクター、本心、SNS、作られた像、推し、信じる人」といったキーワードが出てきて、今まで自分が影響を受けてきたかわいいキャラクターとイメージがつながりました。私たちがかわいいと感じているキャラクターも誰かがプロデュースしていて、その一面を見て憧れや好きという気持ちを持っています。自分はそれを批判するわけではなく、ただそういった側面もあるということを描いて、観る人に問う作品となっています。無表情であるのは外へ向ける顔は作られていて、心の中は自分にしか分からないことを表現しています。またこの作品は色違いのピンクサイドという作品も同時に作っています。サイドは側面という意味ですが、「ダークサイド」という言葉をオマージュして色々な面があるという意味でブルーとピンクの作品を作りました。
「ピンクサイド」

Q.影響を受けた作品・出来事はありますか? ※自他どちらでも構いません
コロナ禍は自分の表現にも影響がありました。家に引き篭もることが多く、電車に乗ることもせず、スーパーに行くのも気をつけて行く時期があり、そんな時に家から近所を散歩し、外の空気を吸って、空を見て、花を見るという普段だったら何でもないようなことで喜びとものすごい開放感を感じられました。その時あたりから開放感の喜びを表現した花をモチーフにしたり、明るい絵を描くようになりました。家の中でも明るく、観る人に前向きな気持ちを届けられればという思いからです。
ほかに、約10年習っていた茶道の影響があります。茶道ではお茶をお客さんのためにたてますが、一杯のお茶を美味しくいただいてもらうためにお茶碗、お菓子、掛け軸、お花などお茶以外のことも選んで整えて、空間全体を使っておもてなしをします。展示をしていて思うのは、作品を観てもらうために画廊の空間、画家の話、キャプションなど全てに心を入れて迎えなければ伝わらないと思っています。茶道で学んだことのひとつは「お客さんのために」という姿勢です。
Q.印象に残っている展示会はありますか? ※自他どちらでも構いません
2022年に行った山梨県にある「中村キース・ヘリング美術館」での展示「混沌と希望」です。キース・ヘリングはもともと好きなアーティストでしたが、こちらの美術館は作品をよりよく魅せる空間づくりが素晴らしかったです。作品を一点一点鑑賞するというよりも、キース・ヘリングの中にこちらが飛び込んで身体ごと浸からせてもらうような感覚でした。思わず祈りたくなるような生死を感じさせる空間から、明るく前を向きたくなる空間まで、作品と空間の一体感がすごかったです。自分の展示を行うときも空間と作品を一体としてイメージを持つことをより意識するようになりました。美術館の展示構成は毎年変わるようなので同じ構成では観られないと思いますが、キース・ヘリングへのリスペクトに溢れた美術館なので、いつ行ってもきっと素晴らしい展示になっていると思います。
Q.今まで見たアート作品で印象に残っていることを教えてください。
田窪恭治さんの「林檎の礼拝堂」が強く印象に残っています。「林檎の礼拝堂」という作品をどうしても観たくて学生時代にフランスのノルマンディーという場所まで行きました。この作品はノルマンディーという田園風景が広がる地方にある古く廃墟となっていた礼拝堂を作品にしたのもであり、プロジェクトです。プロジェクトを行うにあたって田窪さんが家族とともにフランスに移住し、約10年をかけて作られたものです。作品は力強い林檎の枝葉と壁の白が美しく、圧倒されたのを覚えています。
実際に現地に行ってみてわかる日本からフランス、そしてノルマンディーという地方への遠さと全く知り合いのいない異国の地方での生活、それがどれほどの熱い想いがないと成し遂げられないものだったのかを肌で感じました。田窪さんの想いが家族や現地の方、作品に関わる全ての人の心を動かしたように、私もその想いに動かされて日本から全く知ることのなかったノルマンディーまでこれて、作品に触れることができた縁に感謝しています。それまで大学というほぼ内輪での世界でしか活動をしていませんでしたので、外への発信から生まれる作品の魅力を知り、アートへの情熱は人を動かすんだと実感しました。
Q.今後の制作活動への想いやチャレンジしていきたいこと・目標があれば教えてください。
アートで豊かな時間を届けていきたいです。家やお店、会社など身近な場所に飾ることで暮らしにアートが入り、心が豊かになります。豊かになるってどういうこと?と聞かれますが、自分の場合だと、疲れて帰ってきて、一息ついて作品を観ながらゆっくりする時間を楽しむことだったり、その作品を観て心が穏やかになったり、元気になったり、あるいはドキドキしたり、何らかの感情が生まれることです。作品があることでより多くの感情を知ることができる、その時間を届けたいと思っています。
【作品紹介】
「ブルーサイド」

この作品は皆が求めるキャラクターとして描きました。キャラクターアートのコンセプト「物事の表と裏」は、皆が求めるかわいいキャラクターは、外に向ける作り込まれた表の顔と裏の顔、物事には表と裏やさまざまな顔があるということを表現しています。タイトルには色々な側面の一つという意味を込めています。
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【今後の出展・イベントについて】

■二人展 -挑戦-
期間:2026/5/21(thu)~ 26(tue)
時間:12:00 - 19:00 最終入場18:45 ※最終日は16:00まで
会場:ギャラリー路草
豊島区南池袋2-25-5 藤久ビル東五号館14階 (池袋駅より徒歩約5分)
▽詳しくはこちらからご確認下さい。
【経歴・出展歴】
多摩美術大学 絵画学科油画専攻 卒業
多摩美術大学大学院 絵画専攻油画領域 修了
【個展】
2014年 日常風景 PAPERSUN APARTMENTホテル(台湾)
2016年 新緑 光一咖啡(台湾)
2019年 守っているようで守られている ギャラリー和田
2020年 個々彩 ギャラリー路草
2023年 三村あずさ展 ELOISE’s Cafe Tokyo Asakusa
2024年 フラワーズ ホテルメトロポリタン池袋
2025年 三村あずさ展 カフェ・レボン快哉湯
2026年 三村あずさ個展 創英ギャラリー
【出展】
2025年 Independent Tokyo 2025
【グループ展示】
2015年 「藝聲響起」 福華沙龍Howard salon(台湾 台北)
2019年 「KENZAN2019」 新宿パークタワー
2019年 「赤と緑と金色と小さなクリスマスアート展」 伊勢丹浦和店プチギャラリー
2021年 「2人展」 創英ギャラリー
2021,22年 若手人気作家 日本画・洋画展 JU米子高島屋 美術サロン
2022年 「池袋回遊派美術展2022」東京芸術劇場
2022年 「IAG Artist’s Small Works」 IAG Salon Gallery KONOYO
2022年 「リビエラアートフェア」リビエラ東京
2021,22,23年「KENZAN」 池袋 東京芸術劇場
2024年 「KANZEN」伊勢丹新宿店
2025年 「ハイカラカラー」 銀座三越
2025年 「TAMABI REUENO」 松坂屋上野店
【受賞歴】
2018年 月刊美術 美術新人賞デビュー2018 準グランプリ
2019年 池袋アートギャザリングIAG AWARDS
【アートレジデンス】
2012年12月~2013年2月 台湾 竹圍工作室
