2026/07/22 10:00



【桂典子】

食べ物や身体をめぐる生命の循環を主題に、装飾と変容、感覚の流動性を描く。絵画を「有機的に変化する生命体」ととらえ、鮮やかな色彩と密度の高い描写を通して、人間と非人間の関係性を問い直す実践を続けている。描かれた生命の群像は、観るものの感情を揺さぶり、日常に潜む生の気配を呼び覚ます。


【アーティスト:桂典子 について】

・制作のテーマ・コンセプト
油絵を主に、細胞・食べ物・胎内など体をつくる愛おしい生きものたちの群像を、生命の循環として描いています。愛らしい顔のある生き物と目を合わせたとき、私はこの世界の、あまりにも豊かで多様な「生」の塊に包み込まれます。

・影響を受けたもの(人・作品・体験など)
子供の頃にペットショップで出会った古代魚に生物の愛らしさを感じました。また、地元山口県にある鍾乳洞「秋芳洞」から生き物に飲み込まれるような感覚を体験したことも重要な経験です。造形の面では、子供の頃に読んでいた漫画から「目玉」によってあらゆるものが生き生きとすることを学びました。

・現在の表現方法に行き着いた理由
出産前までは「水性テンペラと油彩の混合技法」で描いていましたが、産後少しの時間も惜しく絵の具を練らずにチューブから出して使える「アルキド樹脂絵の具」と油彩の混合技法で描くようになりました。

・作品を通して伝えたいこと、どんな人に届いてほしいですか?
私の絵には顔がたくさんあります。顔が描かれた途端、モチーフたちに生命が宿り生き生きとした笑顔になります。顔と顔を見合わせると相手の気持ちを想像したり意志を伝えよう・汲み取ろうと心が動き、そこに命の存在を見つけることができるのです。顔がない植物や、生物に限らず壁や車などの無機物にも「ここに顔がある・見える」と想像したり、小さな子供が顔に手足が生えている頭足人間を描くのは、顔が見えるものに対峙する時、より自身に近い感覚で愛情を感じたり伝えたりできるからではないでしょうか。可愛いモチーフ達が鑑賞者と心を通わせ、何気ない日常で身の回りに命が溢れていることに心を馳せるきっかけになってくれることを願っています。


【作品について】


・作品名:『無憂樹』

・作品の説明
私は息子とスイーツを食べるのが大好きです。スイーツを食べながらイタリア滞在中に見つけた家系図(family tree)を書いていると、我が子の命と先祖達との命のつながりが感じられました。彼らの一人でも欠けていたら、夫婦が出会わなければ、私も子供も存在していなかったのです。生命を象徴する木の一つに、釈迦が誕生した「Saraca asoca」があります。彼らが食べていたスイーツと、私たちが食べているスイーツを、「Saraca asoca」の花と一緒に描きました。

・使用素材・技法
キャンバス、油彩、アルキド樹脂絵具

・制作年
2024

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・この作品はどのように鑑賞してほしいですか?どんな人に届けたいですか?
小さな食べ物たちも可愛らしく蠢いているので、どのようなスイーツが描かれているか楽しみながら細部まで見て探して見て欲しいです。

・見る人によって解釈が変わる部分はありますか?
グロテスクな印象を強く持たれる方もいれば、可愛らしい印象を持たれる方も多くいます。

・タイトルはどのタイミングで決まりましたか?
作品が完成した後に、画面やモチーフやコンセプトを一言で表すには、と熟考します。

・「アート×Tシャツ」についての感想・想い
グッズの中でも画集やポストカードは「鑑賞するもの」に近いですが、Tシャツは「纏うもの」として、より作品を身近に、日常を共に過ごしてくれるものとして愛していただけるのではないかと思います。

・あなたのアートがTシャツになることにどんな違和感や可能性を感じますか?
私は「体内」に対して「皮膚」を描くことも意識しています。服は着脱可能な「皮膚」に近いもののように思います。私の作品がたくさんの人の「皮膚」になってくれることを願っています。


【経歴・受賞歴】

■活動歴
2013年 武蔵野美術大学大学院修士課程造形研究科美術専攻油絵コース修了 在学中より制作活動を始める

■主な展示・実績
個展
2023年 なかないで、えがおがみたい (Gallery Suchi)[東京]
2021年 あなたにあえてとてもうれしい(六本木ヒルズA/Dギャラリー)[東京]

グループ展
2026年 SICF27 EXHIBITION (spiral)[東京]
     佐藤美術館収蔵品展2026(佐藤美術館)[東京]
     「虚現律」(S_R gallery)[東京]

2025年 第8回雪舎 風の会展2025(雪染舎美術館[新潟]/アカデミア・デッレ・アルティ・デル・ディゼーニョ[イタリア])
2024年 [Yes, We Can] JK-G Competition ( Gallery BISUNJAE)[ソウル]

■受賞歴など
2026年 KAIKA TOKYO AWARD 2026 入選
2024年 JK-G ART COMPETITION 2024ファイナリスト
2024 年 ART OLYMPIA 2024 遠藤彰子審査員特別賞
2023年 第7回青木繁記念大賞ビエンナーレ優秀賞 
2020年 第23回岡本太郎現代芸術賞 入選
2017年 第19回雪舎フィレンツェ賞展 フィレンチェ美術アカデミア賞


【今後の展示・イベントについて】

■個展予定
コートギャラリー国立[東京]
日時:11/12~11/17
※詳細はアーティストSNSをご確認ください。

・来場者へのメッセージ
楽しむことを入り口に、愛情を感じていただけると嬉しいです。