2026/11/06 18:00



【廣瀬祥子】

Contemporary Artist / Illustrator
2018年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
「A Life Without Reality」をコンセプトに、情報と物質、虚構と現実、その境界が曖昧になった現代の知覚をテーマに制作する。
デジタルイメージをキャンバスやアクリルへ出力し、油彩や樹脂、半立体的なレイヤー構造を重ねることで、情報が物質へと変換される過程を作品化する。情報・描画材・オブジェクトを同一平面上で交差させることで、デジタル時代の新しい視覚体験を提示する。
また、「ひろせ」名義ではゲーム、ライトノベル、「初音ミク」関連作品など国内外の商業イラストレーションも手がけ、現代美術と商業表現を横断しながら、現代におけるイメージの在り方を探究する。



【アーティスト:廣瀬祥子 について】

・制作のテーマ・コンセプト
私は「A Life Without Reality」をコンセプトに、情報と物質、虚構と現実、その境界が曖昧になった現代の知覚をテーマに制作している。
デジタルイメージが現実認識の前提となった現在、私たちは物質として存在するものだけでなく、画面上を流通する画像や記号、仮想空間を通して世界を認識している。本来は実体を持たない情報が現実以上の存在感を獲得する一方、身体や都市、物質もまた画像へと変換され、編集・複製・消費されていく。
制作では、デジタル環境で構築したイメージをキャンバスやアクリルへUV出力し、油彩、樹脂、グリッター、鏡面素材、半立体的なレイヤーなどを組み合わせる。均質な情報として存在していた画像に、重力、滲み、厚み、反射といった物質固有の現象を介入させることで、虚構が現実の「物」へと変換される過程を画面上に生じさせている。
画面に現れる人物や都市は、固定された物語を表すためのモチーフではない。それらは、身体と記号、記憶とデータ、現実と虚構が同時に存在する現代の知覚を可視化する媒体として配置されている。
また、「ひろせ」名義でゲーム、ライトノベル、「初音ミク」関連作品など、国内外の商業イラストレーションも手がけている。流通する視覚イメージを制作する実践と、それを物質として再構成する現代美術の実践を往還しながら、デジタル時代における絵画とイメージの在り方を探究している。

・現在の表現方法に行き着いた理由
大学まではずっと油彩を中心に制作していましたが、卒業制作で実験的にデジタル技術を取り入れた、線画をベースとする作品を制作したことが、現在の作家活動の出発点になっています。
それ以降、デジタルで制作したイメージを起点に、それをどのように物質として現実の空間に存在させることができるのか、さまざまな素材や技法を試しながら制作を続けてきました。
現在は、以前から取り組んでいた油彩にUV印刷を組み合わせた複合技法に加え、複数のアクリル板を物理的に離して配置することで、画像のレイヤー構造そのものを立体的に表現する作品などを制作しています。
今はインターネットを通じて、世界中の膨大な作品を簡単に見ることができる時代です。だからこそ、画面越しでは伝わりきらない絵具の質感や光の反射、素材の厚み、見る角度によって変化する表情など、実際に作品を見てくださった方にしか感じられないものを大切にしたいと考えています。

・影響を受けたもの(人・作品・体験など)
幼い頃から漫画やアニメが好きで、特に小畑健先生、大暮維人先生、大友克洋先生など、緻密な描き込みや圧倒的な情報量を持つ作品に強く影響を受けてきました。
また、伊藤若冲や歌川国芳などの日本美術に見られる繊細な線の表現や、中国の細密な仏画などにも惹かれてきました。時代や文化、表現方法は異なりますが、細かな線の集積によって複雑な世界を描き出す表現には、昔から強い魅力を感じています。
現在は別名義で商業イラストレーターとしても活動しており、漫画やアニメなどのカルチャーは、今も自分の制作と深く結びついています。
私自身、昔からアニメや漫画の世界に没入することで、現実のつらさから救われてきた経験があります。だからこそ、自分も現実には存在しない世界や人物を描き続けているのだと思います。
そうしたフィクションの世界を、単なる画像としてではなく、現実の空間に存在する美術作品として表現することが、現在の制作にもつながっています。

・作品を通して伝えたいこと、どんな人に届いてほしいですか?
私は昔から漫画やアニメなどのフィクションの世界に没入することが好きで、現実でつらいことがあったときも、そうした作品に何度も救われてきました。
自分とはまったく接点のない、どこかの誰かが作った架空の世界や人物に心を動かされ、その経験がきっかけとなって、今も作品を制作しています。
私の作品では、「情報と物質、虚構と現実」の境界をテーマに、デジタルで構築した架空の世界を、印刷や油彩などを用いて現実の空間に存在する物体として表現しています。
画面の中にしか存在しなかった世界が、実際に目の前に現れることで、虚構と現実の境界が少し曖昧になるような感覚を生み出せたらと思っています。
私自身が、顔も名前も知らない誰かの作品に心を動かされてきたように、自分の作品も、どこかにいる見知らぬ誰かの心に届いてくれたら嬉しいです。
そして、作品を見ている間だけでも、現実から少し離れて、そこに描かれたフィクションの世界に没入してもらえたらと思っています。

・「アート×Tシャツ」についての感想・想い
これまでも展示企画などで自分の作品を使ったTシャツを制作していただいたことはありましたが、ここまで高解像度で印刷されたTシャツを見るのは初めてでした。
通常のTシャツ印刷では、作品の細かな線やディテールが潰れてしまうことがあるため、これまでは印刷用のデジタルデータをそのまま使用していました。
しかし、今回はVOICE GATHERINGさんの高解像度印刷であれば、実際の作品を撮影した写真でも細部まで再現できるのではないかと考え、あえて完成した絵画作品の写真を使用しています。
私の作品は、デジタルイメージをキャンバスに印刷した後、油彩などで加筆しているため、完成した作品にはデジタルデータには存在しない絵具の質感や物質感があります。今回のTシャツでは、そうした細かなディテールまで表現していただけたことがとても嬉しかったです。
また、今回は作品の中に登場する女の子が着用している、架空のファッションブランドのロゴも刺繍していただきました。
私の作品では、フィクションの世界を現実の物体として表現することをテーマのひとつにしていますが、今回のTシャツも、まるで絵の中に存在するファッションブランドが実際に製品を販売しているような仕上がりになったと思います。
単に作品をプリントしたグッズというだけでなく、架空の世界に存在するブランドの服を、現実の世界で実際に着ることができるという点でも、自分の制作コンセプトとつながる、とても面白い試みになりました。

・あなたのアートがTシャツになることにどのような想いや可能性を感じますか?
私自身、これまで購入してきたTシャツには、それぞれ思い出があります。
どこで見つけたのか、なぜそのデザインを選んだのか、どんなきっかけで購入することになったのか。時間が経ってからそのTシャツを見ると、買った当時の出来事や気持ちまで思い出すことがあります。
普通の洋服とは少し違って、Tシャツはプリントされた絵柄やデザインそのものが、選ぶ理由になることが多いからかもしれません。
今回、自分の作品がTシャツになることで、普段は展示会場で鑑賞していただく作品が、誰かの日常の中に入り込んでいくことを嬉しく思っています。
展示を見に来た記念でも、絵柄を気に入っていただいたからでも、何かの偶然でも、手に取っていただくきっかけは人それぞれだと思います。
いつかそのTシャツを見返したときに、購入したときの出来事や、その頃の気持ちを思い出してもらえるような、誰かの思い出のひとつになってくれたら嬉しいです。

【作品について】


・作品名:『Residual Emotion: 3,842,116 Tris』


・作品の説明
多層アクリル作品「Residual Emotion: 3,842,116 Tris」の完成写真をもとに、作品のディテールを再構成しました。
作品に登場する少女の表情や緻密な線画、複雑に重なり合うイメージを組み合わせ、ひとつの美術作品から新たなグラフィックを制作しました。
美術作品の一部分を切り取り、再構成することで、オリジナル作品とは異なる視覚表現を楽しめます。


▷商品ページはこちら



・作品名:『Residual Emotion: 3,842,116 Tris』


・作品の説明
多層アクリル作品。
作品の緻密な線画や色彩、複数のアクリル層によって生まれる複雑な視覚表現を、細部まで楽しめる仕上がりになっています。
美術作品としてのディテールと、架空のファッションブランドの世界観を組み合わせた作品です。

▷商品ページはこちら


・この作品はどのように鑑賞してほしいですか?どんな人に届けたいですか?
今回のTシャツは、元になった美術作品の一部として楽しんでいただいてもいいですし、Tシャツそのものを独立したひとつの作品として捉えていただいてもいいと思っています。
普段着として日常の中で着ていただけたら嬉しいですし、展示の記念として大切に保管していただいたり、飾って鑑賞していただいたりするのも素敵だと思います。
私自身、作品の受け取り方や楽しみ方に決まった正解はないと考えています。
元の作品やその世界観を知っている方にも、今回のTシャツをきっかけに初めて作品に触れる方にも、それぞれの感覚で自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。

・見る人によって解釈が変わる部分はありますか?
今回は「Residual Emotion: 3,842,116 Tris」というひとつの美術作品を撮影した画像をもとに、フロントプリントとバックプリントの2種類のTシャツを制作していただきました。
私自身、Tシャツを購入するときに、フロントプリントとバックプリントのどちらにするか悩むことが多いので、今回は両方のタイプを作っていただきました。
フロントプリントでは、完成した美術作品の写真をもとに、画像を再構成してグラフィックとして仕上げています。同じ作品を出発点にしていても、構成や見せ方を変えることで、それぞれ異なる魅力を持ったプロダクトになるところが面白いと感じています。
また、見る人によっても受け取り方は変わると思います。作品に登場する女の子を主役にしたキャラクターのTシャツとして楽しんでいただいてもいいですし、さまざまなイメージや質感を組み合わせたグラフィックデザインとして捉えていただいてもいいと思っています。
元になった美術作品を知っているかどうかによっても、見え方は変わるかもしれません。
私自身は、どちらかひとつの解釈に限定するつもりはないので、それぞれの方が気に入った部分を見つけて、自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。


【活動歴】

2018年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。ゲーム会社にてコンソールゲームのキャラクターモデラーとしての勤務を経て独立。
現代美術家「廣瀬祥子」として、デジタルイメージと油彩、UV印刷、多層アクリルなどを組み合わせた作品を制作。国内外の百貨店、ギャラリー、アートフェアなどで作品を発表している。
また、別名義「ひろせ」で商業イラストレーターとしても活動し、ゲーム、音楽、キャラクターコンテンツなどの公式イラストや衣装デザインを手がける。

【主な展示・実績/受賞歴】

展示・実績

【主な個展】
2026年「Matter and “Ghost”」西武渋谷店
2026年「awake “n”」阪神梅田本店
2025年「idol faith」銀座三越
2024年「anima」阪神梅田本店
2024年「7 Scenes」GALLERY ROOM・A
2023年「[Departure] from Unreality: A Slumber’s End」阪神梅田本店
2022年「Life in a “PARALLEL” world」阪急メンズ東京
【主なグループ展・アートフェア】
2026年「ART AMOY 2026」中国・厦門
2026年「MITSUKOSHI Art Week」日本橋三越本店
2026年「ART OF MIKU」Whitestone Gallery Taipei
2025年「ONE ART Taipei 2025」台湾
2025年 上海AAEF Art Centerでの展示
2024年「ART OF MIKU」渋谷PARCO・札幌PARCO
2023年「初音ミク×イセタン」伊勢丹新宿店
2022年「WAVE2022」3331 Arts Chiyoda
【主な商業イラストレーション実績】
『アークナイツ』
『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』
『初音ミク×イセタン』
『にじさんじ』
『勝利の女神:NIKKE』
『アズールレーン』
ほか、ゲーム・音楽関連の公式イラスト、衣装デザインなど。

受賞歴

2018年「Independent TOKYO 2018」審査員特別賞
2014年「トーキョーワンダーウォール2014」入選
【作品収蔵】
KDDI株式会社
株式会社グッドスマイルカンパニー

【今後の展示予定】

■ 二人展「Snap」
会期: 2026年11月5日(木)〜11月24日(火)
会場: TAGBOAT 本店(東京)
出展作家: 増田恵助・廣瀬祥子
本展で私は、架空のファッションブランド「VELORIUM」をテーマにした新作美術作品を発表します。ファッションモデルの方々とのコラボレーション作品や、Tシャツをはじめとするオリジナルグッズの販売も予定しています。

【オープニングトークショー】
11月5日(木)18:00〜19:30
出演:ファッションモデルの方々、ファッション業界のアートディレクター黒川聖広氏、タグボート代表徳光健治氏、増田恵助氏、廣瀬祥子
ファッションと現代美術をテーマに、作品制作や今回の展示についてお話しする予定です。

【油彩ライブペインティング】
11月7日(土)11:00〜16:00
廣瀬祥子による初の油彩ライブペインティングを開催します。F80号(145.5 × 112cm)の大型キャンバス作品に、会場で油彩による加筆を行います。制作過程や、絵具によって作品の表情が変化していく様子を間近でご覧いただけます。

・来場者へのメッセージ
今はインターネットを通じて、世界中のたくさんの作品を気軽に見ることができる時代ですが、そんな中でわざわざ会場まで足を運んでくださることを、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます!
私の作品は、デジタルで制作した画像に油彩やさまざまな素材を組み合わせているため、実物でしか伝わらない質感や光の反射、見る角度によって変化する表情などがあります。
ぜひ会場で実際の作品をご覧いただき、写真や画面越しでは伝わりきらない視覚体験を楽しんでいただけたら嬉しいです。
今回の展示では、Tシャツのほかにもさまざまなオリジナルグッズや、ファッションモデルの方々とのコラボレーション作品などもご用意しています。
また、11月7日(土)には、F80号の大型作品に油彩で加筆するライブペインティングも予定しています!
作品を鑑賞するだけでなく、制作の様子や展示全体の世界観も楽しんでいただける機会になればと思っています。
ぜひお気軽に遊びにいらしてください!
どうぞよろしくお願いいたします!


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