2026/05/21 09:30


【三村あずさ】

小学校の美術の授業で作った作品を褒められたことがきっかけで美術を好きになり、美術大学卒業後、発表や作品を通して人に楽しんでもらうことの喜びに気づき、「豊かな時間」を届けることを目指してアート活動を続けている。モチーフは動物(主に犬)や花で、動物は癒しや日常の穏やかさ、花は明るさや喜びを表現し、観る人に前向きな気持ちを届けることを目指している。


~INTERVIEW~


Q.今回の二人展について、テーマやコンセプトなどを教えてください。
2人展のタイトルとテーマは「挑戦」です。私個人としては、絵を飾る楽しみを届けることに挑戦します。そして、個人のコンセプトは「ユートピア」です。ユートピアからイメージされるのは、理想郷、幻想的な空間、安らぎ、癒しなどかと思います。今まで制作してきた動物の日常シリーズ、明るい喜びに満ちた花シリーズ、そして今回水彩画のあなたの癒しシリーズの構成にしたいと思います。それぞれに共通しているのは、心が穏やかに、前向きな気持ちになれるようにというメッセージが込められていることです。

Q.今回の二人展のテーマやコンセプトについて、決められた背景や理由を教えてください。
今回の展示はIAGという公募展のギャラリー路草賞を受賞した2人の作家による展示で、ギャラリー路草さんより「挑戦」というテーマを提案いただきました。「挑戦」には賞を受賞してから数年経ち、さらなる表現を求める作家の挑戦という意味が込められています。一つの空間に2人の作品や想いが重なったり、交差することによって新たな視点が生まれることを届けたいと思います。私は、二人展の完成形が見えない部分を楽しんで、展示期間にお客さんが入ってはじめて完成するような展示を目指しています。一方的に作家の思いを押し付けるのではなく、お客さんが楽しめる余白を残しておきたいと思っています。

個人コンセプトを「ユートピア」としたのは、「癒されたい」という思いからです。なぜか常に何かに追われている感覚があり、より高いところを目指さなくてはいけないと感じていました。それはきっと、日々観ているSNSがそうさせたのかもしれません。いろんな情報が入ってきて、常に動いていなくてはいけない、いいものを持たなくてはいけないという思いがあり、ここから離れてとにかく休まるようなイメージの中に浸かりたいと心から欲しましたが、癒しもまた、SNSに求めている自分がいました。SNSを閉じればいいですが、情報が気になってなかなかやめられない。そんな時に外にでて緑の中を歩く中で、以前と同じような感覚になりました。それは、コロナ禍に家に引きこもっていたときに散歩で感じた開放感です。空を見ることや植物がとても明るく美しく、外にでる開放感の喜びを感じました。そこからSNSではなく、頭の中で自分の思い描くユートピアをイメージし続け、このイメージの中に浸かることこそ全てを癒してくれるユートピアだと感じました。今回の展示はそんなイメージを持って、制作、構成をしました。

Q.今回展示される「動物の日常シリーズ」について制作の背景などを教えてください。
2012年に台湾にアートレジデンス(スタジオを借りて滞在制作)をしていた時に、街中で寝ている犬たちの風景を見て、とても穏やかでなんだかその姿がユニークで思わずふっと笑顔になって、前向きに頑張ろうと思えたところから日常の中の楽しさや喜びの象徴として寝ている動物たちを描き続けています。毎日同じような時間が流れているけど、少しずつ変化があったり、毎日見る風景の中に喜びや美しさを感じたり。この瞬間こそ尊いということを日常の淡々と流れる時間と動物の姿とともに表現しています。

Q.「明るい喜びに満ちた花シリーズ」について制作背景を教えてください。
コロナ禍では家に引き篭もることが多く、電車に乗ることもせず、スーパーに行くのも気をつけて行く時期があり、そんな時に家から近所を散歩し、外の空気を吸って、空を見て、花を見るという普段だったら何でもないようなことで喜びとものすごい開放感を感じられました。その時から開放感の喜びを表現した花をモチーフにしたり、明るい絵を描くようになりました。家の中でも明るく、観る人に前向きな気持ちを届けられればという思いからです。また、今回のテーマであるユートピアをイメージしたときに、明るく包んでくれて広がっていく花畑をイメージした作品を展示します。

Q.「水彩画の癒しシリーズ」について制作背景を教えてください。
どうしたら自分の作品で喜んでもらえるかと考えているときに友人、知人にインタビューをすることにしました。「あなたにとっての癒しとは?」を聞いて、答えてもらった「ペット、自然、旅行、カフェ」などのキーワードをヒントに制作をしました。約30枚の水彩画を展示するので、1枚は気に入ってもらえるように、「あなたの癒しを見つけてください」というメッセージを込めて展示をしたいと思います。手軽に飾れるようなサイズにしているのでこの機会に絵を購入する楽しみ、飾る楽しみ、ともに暮らす楽しみを体験してもらい、それぞれの暮らしの中に豊かな時間を届けられるようにしたいです。

Q.今回、VOICE GATHERINGとのコラボ商品として水彩画のシリーズから「あなたの癒し」という作品をアートTシャツにさせていただきました。こちらの作品について制作背景やテーマをお聞かせください。
ペットと一緒に暮らしていたときに、姿だったり存在そのものに癒されるなと感じていました。今は離れて暮らしていますが、よりそのときの光景や離れているからこそ思い出して感じることがあります。愛情のあるもの、ことを見た時、思い出した時に感じる笑顔になるような、推しがいるから頑張ろうという前向きな気持ちを届けたいと思っています。加えて、「あなたにとっての癒しとは?」というインタビューをしている中で、ペットと答えてくれる方が何人かいて、その答えをヒントに猫をモデルに描きました。

Q.「あなたの癒し」のアートTシャツについて、着る人にどう感じてほしいか、作品をどう見てほしいですか?
また、どんな人に、どんな場所で着てほしいですか?
着る人もその人と一緒に過ごす人もふっと笑顔になって、なんか楽しい、ちょっと頑張ろう、という前向きな気持ちになってくれたらいいなと思います。ゆるく行きたい人、固くなりがちな人、リラックスしたい時、笑顔になりたい時、人と会う時に着て楽しく過ごしてもらえたら嬉しいです。また、自分は固いと言われることがあるので、これを着て少しゆるく柔らかくなりたいと思います。

Q.作品を通して伝えたいこと、どんな人に届いてほしいですか?
自分もそうだったように日々の生活や仕事で手一杯な人、なかなか休めない人にアートやアートTシャツで癒されたり、ほっとしたりと、豊かな時間を届けたいです。特にアートTシャツは自分が着て人と会うことで、その相手も一緒に楽しめるので、素敵だなと思っています。

Q.三村さんについてお聞かせください。現在の表現技法に行き着いた経緯を教えてください。また、これまでに影響を受けたものや、制作時のこだわりを教えてください。
見て感じたものを描くというスケッチから始まって今に至ります。始めは絵の四角い画面全体を支配するように隅から隅まで描いていましたが、だんだんと余白や何もないフラットな部分を作るようになりました。これは、日本の間を表現するような作品から影響を受けています。また、作家が100%表現したいことを押し付けるのではなく、観る人に絵に入ってもらう余白を作るイメージもあります。今回のアートTシャツのように水彩画でも余白を作ることは共通していますが、さらに「ゆるさ」が自然と出てきました。これまで油絵を描くときは構図、色、質感をしっかり決めてから描いていましたが、水彩画では頭の中でイメージをして何枚も描いてみるという方法です。その表現方法が今までと違ってゆるくていいという感覚になっています。

Q.アート制作をしていないときの過ごし方を教えてください。
現在はアート以外の仕事もしているので、アートとそのほかの仕事を両立するようにしています。また、自分がアート活動を続けていくのに困った経験や若い時に知りたかった情報をアーティスト同士共有して、共にアート活動が盛り上がっていけるように、アートを続けていけるようにという思いがあり、去年からアーティストに向けて勉強会や人前で話す機会を少しずつ作っています。そのほかは一人でも友人や家族とでもカフェに行って過ごすのが自分の癒しの時間です。

Q.これまでに影響を受けた展示や作品を教えてください。また、三村さんの感性や琴線に触れる作品や表現についても教えてください。
長沢蘆雪や仙崖の犬の作品はゆるさとコミカルさとかわいさがあって直感的にいいなと思います。私はアートに限らずキャラクターが好きなので、コミカルなもの、かわいいものに惹かれます。

Q.今後挑戦したい表現や展示会、今チャレンジしていることはありますか?
・暮らしの中のアート
「絵は壁に飾る四角いもの」という思い込みを外した作品を作りたいです。
というのも、アートで豊かな時間を届けたいと思って制作をしているのですが、環境的に家に絵を飾れなかったり、絵を飾る習慣がない人には絵に対してまだ抵抗がある人もいると思います。それならば、今回のアートTシャツのように、より暮らしの中に近いものとコラボレーションをするようなかたちで表現ができたらいいのではないかなと思っています。これはまだ考え中ですが、マグカップに絵付けをした作品を作ってみたいです。

・ペットをモデルにしたオーダー作品制作
動物の作品を描くことが多いので、友人からペットの絵を描いて欲しいと依頼されることがあります。愛情のあるペットの絵はとても喜ばれるので、その輪を少しずつ広げていくようにオーダー作品を受けられる体制を整えていきたいです。その中でも癒しやゆるさなど自分の表現を受け入れてくれる余白を残したいと思います。

【作品紹介】

「あなたの癒し」

愛情のあるもの、ことを見た時、思い出した時に感じる笑顔になるような、推しがいるから頑張ろうという前向きな気持ちを届けたいと思っています。「あなたにとっての癒しとは?」というインタビューをしている中で、ペットと答えてくれる方が何人かいて、その答えをヒントに猫をモデルに描きました。


【今後の出展・イベントについて】

■二人展 -挑戦-
期間:2026/5/21(thu)~ 26(tue)
時間:12:00 - 19:00 最終入場18:45 ※最終日は16:00まで
会場:ギャラリー路草 
   豊島区南池袋2-25-5 藤久ビル東五号館14階 (池袋駅より徒歩約5分)

▽詳しくはこちらからご確認下さい。

■【個展】
日時:2026年7月30日〜8月16日(木金土日のみ開催予定)
場所:THE BASES 内TABLES(東京都小平市) 
※時間や詳細はInstagramやHPで順次お知らせします。


【経歴・出展歴】

多摩美術大学 絵画学科油画専攻 卒業
多摩美術大学大学院 絵画専攻油画領域 修了
 
【個展】
2014年 日常風景 PAPERSUN APARTMENTホテル(台湾)
2016年 新緑 光一咖啡(台湾)
2019年 守っているようで守られている ギャラリー和田
2020年 個々彩 ギャラリー路草
2023年 三村あずさ展 ELOISE’s Cafe Tokyo Asakusa
2024年 フラワーズ ホテルメトロポリタン池袋
2025年 三村あずさ展 カフェ・レボン快哉湯
2026年 三村あずさ個展 創英ギャラリー

【出展】
2025年 Independent Tokyo 2025

【グループ展示】
2015年 「藝聲響起」 福華沙龍Howard salon(台湾 台北)
2019年 「KENZAN2019」 新宿パークタワー
2019年 「赤と緑と金色と小さなクリスマスアート展」 伊勢丹浦和店プチギャラリー
2021年 「2人展」 創英ギャラリー
2021,22年 若手人気作家 日本画・洋画展 JU米子高島屋 美術サロン
2022年 「池袋回遊派美術展2022」東京芸術劇場
2022年 「リビエラアートフェア」リビエラ東京
2021,22,23年「KENZAN」 池袋 東京芸術劇場
2024年 「KANZEN」伊勢丹新宿店
2025年 「ハイカラカラー」 銀座三越
2025年 「TAMABI REUNION」 松坂屋上野店
 
【受賞歴】
2018年 月刊美術 美術新人賞デビュー2018 準グランプリ
2019年 池袋アートギャザリングIAG AWARDS 

【アートレジデンス】
2012年12月~2013年2月 台湾 竹圍工作室 

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